Q&A 痛みについて

痛みとは?

痛みの種類

「痛み」を引き起こす原因は、大きく3つに分けられます。


1.炎症や刺激による痛み(侵害受容性疼痛)

ケガや火傷をしたときの痛みです。ケガをするとその部分に炎症が起こり、痛みを起こす物質が発生します。この物質が末梢神経にある「侵害受容器」というところを刺激するため、「侵害受容性疼痛」と呼ばれています。

2.神経が障害されることで起こる痛み(神経障害性疼痛)

何らかの原因により神経が障害され、それによって起こる痛みを「神経障害性疼痛」といいます。糖尿病に伴う痛みやしびれ、坐骨神経痛、脊髄損傷、椎間板ヘルニアによる痛みなどがあります。

3.心理・社会的な要因による痛み

不安や社会生活で受けるストレスなど、心理・社会的な要因で起こる痛みで、痛みの悪循環を来します。

 

痛みが慢性化するしくみ



急に痛くなり、短期間で収まる痛みは「急性の痛み」、1~3ヶ月以上と長く続く痛みを「慢性の痛み」といいます。
通常「急性の痛み」は、その原因となるケガや病気が治れば消えていくものです。適切な治療を怠ると、痛みが別の痛みを引き起こし、「慢性の痛み」=「痛みの悪循環」に変わってしまう場合もあります。また、痛みが慢性化すると、痛みを引き起こした原因がなくなっても、痛みを取り去ることがなかなかできなくなります。さらに、不安からうつ状態につながり、ますます症状が重くなるという悪循環に陥る場合もあります。
痛みは慢性化する前に、適切な治療を行って早期に原因を取り除くことが大切です。無理な我慢は禁物です。医療機関で適切な治療を受けるようにしましょう。
 

 痛みの治療

治療の種類

痛みの治療のゴール、目標設定

我々医療者も患者様自身も『痛みをゼロ』にすることを究極の目標としております。しかしながら、『痛みをゼロ』が最終的なゴールとはならないこともまた事実です。
なにより重要なのは、各個人の生活の質(QOL;Quolity of life)の改善や日常生活動作(ADL; Active daily life)を向上させることです。
患者様のイメージする治療のゴール → 完全除痛(もちろん、我々の目標でもあります。)
医療者側のイメージする治療のゴール → 痛みの緩和、日常生活動作の改善(ADL)、生活の質(QOL)の改善

1.薬物療法

痛みの治療を行う際に、最も一般的に実施される治療は、薬剤を用いる「薬物治療」です。
薬物治療に用いる主な薬剤には、NSAIDs(非ステロイド性消炎・鎮痛剤)、ステロイド、神経障害性疼痛治療薬、鎮痛補助薬、オピオイド、麻酔薬などがあります。
薬物治療では、さまざまな薬剤を病態や症状に合わせて、使い分けています。

2.神経ブロック

「神経ブロック療法」とは、神経や神経の周辺に局所麻酔薬を注射して、痛みをなくす方法です。
麻酔薬が神経に作用し、痛みの刺激が神経を伝わるのをブロックすることで、痛みを取り除きます。痛みが緩和されることで血流が良くなり、筋肉のこわばりもなくなります。
一回で痛みが完治するものではなく、薬物療法と併せて複数回実施するのが一般的です。
神経ブロック療法には、 いくつか種類があり、痛みの種類や症状により使われます。

3.運動療法

痛みがあると、痛みのせいで身体を動かさなくなるため筋肉が痩せてきたり、関節が固くなったりすることがあります。理学療法の目的は痛みを取るだけではなく、このような痛みに伴う症状を和らげ、日常生活でのQOLを維持することにあります。理学療法には、 主に次のようなものがあります。
 温熱療法:組織を温めて血管を広げ、痛みを伝える物質を除去することを目的としています。
 電気刺激療法:低周波の電気刺激により、痛みを伝える神経の働きを抑えます。
 運動療法:筋力増強訓練やストレッチなどで、身体機能の維持をはかります。
理学療法は、症状を見ながら、いくつかの療法を組み合わせて進められます。

4.外科的治療

手術により痛みを取り除く方法です。 薬物療法や神経ブロック療法、その他の治療法であまり効果が期待できない場合に行われます。
手術療法には、神経を圧迫している原因(腫瘍やヘルニアなど)を取り除く方法と、痛みを発信している神経そのものを壊す方法があり、症状に応じて慎重に決められます。
 
 


小さなクリニックだからできること

病院は大きい方がよい、小さい方が信頼できる、など、人それぞれに考えがあると思います。
小さな医院には、新しい役割が期待されています。
すぐに手術という緊急性を要するものは少ないのです。
薬を定期的に飲みながら、定期的な検査・治療を行い、運動習慣により体力の維持・増進をはかることが理想的です。
ですので、まずは通いやすい近所の小さな医院に行き、一般的な病気かどうかを判断してもらうのがよいでしょう。それでも納得できない、あるいは症状が改善しない場合に大きな病院に行くというのが、賢い医療機関のかかり方かもしれません。